地無し尺八の製作
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地無し尺八の製作(その1)(2017.12.23)竹堀作業

2017年12月23日、今年3回目の竹掘りに出掛けました。先月までにすでに21本を掘っていたので、今月23日で終了にしました。歌口下部の周囲が13cm以上の太いものだけを選びました。急斜面の岩場に生えた竹は、水分をあげていないので、肉厚であり、乾燥しても重量はほとんど変わりません。ただ、掘るには石を腕力でたたくので、新潟三条の山芋堀ノミの鋼の刃先もすぐに丸くなってしまいます。地無し管を力任せに吹けば、どんな竹材でも同じように聞こえて違いはわかりませんが、逆複式丹田呼吸法により、静かに息を尺八内部に入れて鳴らせば、竹質の違いはすぐにわかります。岡本竹外先生門下は標準管として地無し2尺3寸管を使用していますが、私の製作したもので重いものは700グラムを越えるものもあります。500グラム以下のものは、破れ障子のような響きになります。
石の間に生えた真竹(クリックで画像を拡大)
急斜面に生えた真竹(クリックで画像を拡大)
竹の根元は石ばかり(クリックで画像を拡大)
12月23日は16本(クリックで画像を拡大)

地無し尺八の製作(その2)(竹材の下処理)12月24日~25日

24日は、持ち帰った竹材の根回りから処理を開始、根の周りは小石なので鋸刃がすぐに切れなくなります。鋸刃を交換しながら、なんとか16本の竹の処理が完了しました。25日は、七輪に樫炭で火を起こして温度が上昇したところに備長炭を入れて着火をして、いよいよ油抜き作業に入りました。備長炭を使用すれば、真竹の内部まで熱が入り、油が内部よりにじみ出てきます。これを雑巾でふき取りながらの作業、16本で3時間ばかりかかりました。
持ち帰った真竹(クリックで画像を拡大)
根回りを処理した真竹(クリックで画像を拡大)
樫炭に点火した後、備長炭を入れる(クリックで画像を拡大)
油抜き作業を始める(クリックで画像を拡大)

地無し尺八の製作(その3)(竹材の下処理)

油抜きが終わった竹材を2階ベランダで太陽のもとで天日干しにする。先月の竹材はすっかり色も変わりました。これで37本の竹材が準備できました。中央の古管尺八は地無し2尺管ですが、周りの竹材がいかに太くて長いかがわかります。1尺7寸管から3尺管までの竹材です。
ベランダに並んだ竹材(クリックで画像を拡大)
ベランダに並んだ竹材(クリックで画像を拡大)

2017年11月3日 地無し管用の竹材の処理(その1)

2017年11月3日、今年も地無し管の竹材を掘ることが出来ました。例年ならば年末ですが、今年は11月に竹堀をすることが出来ました。全部で21本になりました。年末には、また3日ばかり竹堀を予定しています。歌口下部の周囲が13cm以上の太いものだけを選びました。急斜面の岩場に生えた竹なので、肉厚であり堅い材質。乾燥しても重量が減らない竹です。根回りの始末をするのに、小石を切るので、鋸刃が次々と駄目になり大変でした。
持ち帰った竹材(クリックで画像を拡大)
根回りの始末(クリックで画像を拡大)
根を切った竹材(クリックで画像を拡大)
小石が食い込んだ竹の根(クリックで画像を拡大)

2017年11月3日 地無し管用の竹材の処理(その2)

根切り作業の後、備長炭を使用して油抜き作業をする。油抜き作業が終わったらベランダで天日干しに。古管尺八・地無し2尺管が小さく見え、いかに竹材が太いかがわかります。(口先で吹く尺八でなく、丹田の力で鳴らす尺八なので内径が太いのが特徴)
油抜き前の竹材(クリックで画像を拡大)
備長炭で油抜き作業(クリックで画像を拡大)
油抜きの後、天日干しをする(クリックで画像を拡大)

平成28年12月30日 地無し管用の竹材の処理

平成28年12月23日、今年も地無し管の竹材を掘ることが出来ました。例年ならば3日間ですが、今年は1日だけになり、全部で23本になりました。歌口下部の周囲が13cm以上の太いものだけを選びました。門田笛空作の地無し2尺3寸管の歌口下部の周囲が12.7cmなので、それより太い竹材です。急斜面の岩場に生えた竹なので、肉厚であり堅い材質。乾燥しても重量が減らない竹です。1月7日に岡山県高梁市の実家から、神奈川県川崎市の自宅に持ち帰り、これから本格的な天日干しです。
竹の根回りの処理(クリックで画像を拡大)
根回りの処理が完了(クリックで画像を拡大)
備長炭による油抜き作業(クリックで画像を拡大)
油抜きのあと天日干し(クリックで画像を拡大)

錦風流用・地無し2尺2寸管について(2016.7.18)

錦風流用・地無し2尺2寸管について
錦風流尺八の宗家では、2尺管を使用することが伝えられてきましたが、地元の弘前では、2尺2寸管も使用されてきました。2尺管に比べて、2尺2寸管の音味はすばらしいものがあります。私の製作しています2尺2寸管は、青森で活躍されました津島孤松師愛用の太い2尺2寸管及び、津島孤松師の弟子であり、秩父宮殿下の前で御前演奏をしました山谷孤山師愛用の2尺2寸管をモデルにしています。地無し管には竹質が音味に大きく影響をします。写真の尺八は、左から紹介しますと、一番左が丸竹で重量が503グラム、歌口部の内径が2.8cm、その次が模様のきれいな平竹で重量が492グラム、歌口部の内径が2.9cm、三番目が平竹で重量が532グラム、歌口部の内径が2.8cm、四番目は細身の丸竹で重量が579グラム、歌口部の内径が2.5cm、五番目は細身の丸竹で435グラム、歌口部の内径が2.5cm、六番目は太い丸竹で553グラム、歌口部の会計が3.0cmです。通常の尺八に比べれば、いかに太いかがわかります。錦風流用の尺八は明暗とは違い、音の切れ味が要求されます。波浪息によるコミ息は、内径が細いものでは、味をだすことが出来ません。それならば太いものならばいいかと言えば、軽い材質のものでは、音味が平凡なものに聞こえます。平竹の尺八は、やたら息受けが良くて大きな音がしますが、この音味は破れ障子のようなもので、味がなく音だけが大きく響きます。一番左の丸竹は、音味と材質は申し分ないですが、残念ながら内径が少し細いので、どことなく息が詰まるような感じで狭いような音の響きに聞こえます。左から二番目の竹は、模様はいいのですが、材質は腐葉土の山に生えていたもので、繊維に締りがなくて、どことなく平凡な音味です。三番目は平竹で岩場に生えていた竹なので、材質は堅くてすばらしいものですが、断面が平竹 なので、息受けが良くて、ばりばりと気品のない大きな音が響きます。左から四番目の竹は、細見で岩場に生えていた竹、重量は一番重くて、材質は最高ですが、内径が細いので地付き管のような響きがして、地無し管の味が出ません。左から五番目の竹は、製作から30年が過ぎているので、音味は柔らかくていいのですが、内径が細いので、コミ息などの空気の気柱の動きが出せません。一番右は35年前に製作したもので、材質は堅くて、これらの尺八の中では、一番の音味ですが、内径が広すぎて、曲の演奏になれば音のバランスをとるのに大変苦労します。錦風流用の地無し管で一番重要なことは、息受けです。二番目が材質でしょうか。平竹や細身の竹では、独特の味わいを出すことが出来ません。これからも、新しい尺八製作に限りない挑戦が続きます。
錦風流用地無し2尺2寸管(クリックで画像を拡大)

錦風流地無し2尺管の製作(2016.5.28)

錦風流尺八としては、地元弘前では、明治時代から折登如月師作のものが使用されてきました。青森市内で活躍されました津島孤松師や門下の方々も折登如月作を使用し、今日でもその尺八が弘前では残されています。但し、昭和10年頃からの折登如月師作の2尺管は地付きで中継ぎのものが大半をしめています。地付き管は、音味も悪く、ただ大きな音が出るだけで、錦風流本曲を吹いても味わいは出せません。現在、弘前の錦風流伝承会の皆さんは、私が製作しました地無し2尺管を使用し稽古に励んでいます。今回も、広島県産の堅い竹材を使用して、折登如月師作の寸法を参考に製作した地無し2尺管です。すべて籐巻作業をし、完成したものです。 
錦風流用地無し2尺管(クリックで画像を拡大)

地無し管の籐巻作業(2014.7.30)

地無し管の製作が完了したら、籐巻作業に入ります。3厘籐の面取り作業をした後、尺八に籐を巻いていきます。籐巻が完了したら、漆塗りの前に、ビニルテープで養生をして準備が完了です。
籐の面取り作業(クリックで画像を拡大)
籐巻作業(クリックで画像を拡大)
籐巻が完了(クリックで画像を拡大)
籐巻が完了(クリックで画像を拡大)

地無し管の籐巻に漆を塗る

籐巻作業が終わった後に漆を塗り、乾燥が終わった状態。その後、籐の表面の漆を落として磨けば地無し管は完成する。
籐表面の漆が乾燥した(クリックで画像を拡大)
完成した地無し管(クリックで画像を拡大)

平成27年12月26日の竹材処理

平成27年12月24日、25日と地無し管用竹材を掘りに広島県まで出かけました。今回の竹材、かなり太いものばかりで、2尺3寸管から3尺管までのものが大半でした。古管尺八の2尺管と比較すれば、いかに竹材が太いか確認できます。油抜き作業も、ガスコンロなどでは竹の外面ばかり加熱してしまいますが、備長炭を使用すれば遠赤効果により、竹の内部も過熱され、油が表面に湧き出します。この油を拭い取ることが大切なことです。油抜きが終れば、天日干しをして竹の外面の脱色ができます。岩場の堅い竹でも、一か月くらい乾燥させれば、地無し管に使用できるものか判断ができます。
真竹の根回りをきれいにする(クリックで画像を拡大)
根の不要な部分を除去した状態(クリックで画像を拡大)
備長炭を使用して油抜き作業(クリックで画像を拡大)
油抜きした竹材を天日干しする(クリックで画像を拡大)

地無し尺八の製作と音味の比較

広島県産の岩場の竹材で製作した地無し管の2尺3寸管の音味の比較をしました。逆腹式呼吸法により、丹田からの緩やかな息の流れを、喉を十分に開口して、尺八の内部に圧力をかけると、竹質の違いによる音味の違いを聞きわけることができます。現代管のように、口先から早いスピードの息を歌口に吹きつけても、ただ大きな音が歌口部分でするだけで、竹の本当の音味は聞くことが出来ません。今回、それぞれの尺八を比較すれば、700グラムの尺八は、竹質が堅くて肉厚なので、味わいのある響きを聞くことができました。600グラムの尺八は、700グラムの尺八よりは、少し細いですが、材質は堅くて、製作中に歌口部分にやすりをかけても、滑るような堅さでした。音味も堅い味わいのある音を聞くことが出来ました。500グラムの尺八は、肉厚ですが重量が軽いので、吹いてみると大きな音がでますが、破れ障子のような、魅力のない音が大きく響くのが聞き取れました。 最後の古管の2尺管は、昔の虚無僧が吹き込んだ尺八なので、柔らかい江戸時代の音味を楽しむことが出来ました。地無し管の製作の楽しみは、大きな音が鳴ることではなく、それぞれの竹材の違いによる音味を楽しむことでしょうか。ただ、現代管のように、歌口を吹いて鳴らす奏法ではなく、尺八内部の空気柱を動かして音にするので、尺八の下部から音が押し出されるので、吹いている本人には残念ながら、この音味の違いを聞き分けることが出来ません。門下の、きちんとした奏法が出来る方に協力してもらい、その管尻からでる音を聞いて初めて判断することが出来ます。竹の全体を響かせて鳴らす奏法では、中継ぎの尺八のように、竹の中央で繊維を切断したものは、下半身不随になり、尺八の上部しか響かないので、残念ながら、尺八の上半分しか役目をしていません。こうなれば地付き管にするしか仕方がないでしょうか。
700グラムの2尺3寸管(クリックで画像を拡大)
600グラムの2尺3寸管(クリックで画像を拡大)
500グラムの2尺3寸管(クリックで画像を拡大)
古管尺八2尺管(クリックで画像を拡大)