吹禅の技法・釈尊の呼吸法
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吹禅の技法(1)

岡本竹外先生の指導されました地無し管による吹禅の技法

1. 太い長管の吹き方。即ち吹禅の技法は、下唇の内側に舌頭を押し当て
    、なるべく歌口の内側に横長に押し当てて(歌口の幅を一杯に活用)気息
    は柔らかく吹き込む。この下頭の押しを次第に強くするほど、効果は大き     い。 柔らかく吹くことが肝要である。口腔をなるべく広闊にして、柔ら     かく尺八の頭部を構成していると考えるべきである。

2. 口腔及び唇に力を込めないこと。即ち唇を締めない事で柔らかく竹と相談     しながら「カルマン渦列」を対称的に作ることが、その要点である。

3. 唇を余り締めないことが大切で、唇に入れる力を、臍下丹田に入れるこ      によって、唇の力を抜くことが肝要である。

4. 口の形はホの字を発する時の形として柔らかく吹き込む。即ち、ホーを吹     くのだと考える。

5. 吹いて鳴らすと考えないで、歌口の切音が竹管内の気柱に共振するので
   あるから、息を多く使ったら大きい音が出るのではない事に留意すべき
   である。

6. 地付きの調律管の尺八では、余程のことがない限り、この要点を会得でき     ない。楽に音が出てくれるからである。地無しの長管を吹く事は、本当の     吹禅法を自得する早道である。「柔能制剛」が剛管を吹く極意である。

※岡本竹外先生の蒼龍会研修会において、指導を受けた資料より

岡本竹外先生が吹禅の指導に用いられたテキスト

1.剣と禪(大森曹玄著)  大乗禅新書

2.釈尊の呼吸法(大安般守意経に学ぶ)村木弘昌著

3.新陰流入門 渡辺忠成著


The Technique of Suizen Practice

Suizen technique

Below you can find some basic points concerning suizen technique as were transmitted by my teacher Okamoto Chikugai:

1. Use a long and wide bore shakuhachi.
Push the lower lip from the inside with the tip of your tongue and try to press utaguchi oblong releasing a soft out-breath directing it within the inside of the bore.The stronger you do it, the greater the effect. Yet, it is very important to produce a soft sound. Your mouth cavity should be as spacious as you can.

2. Relax your tongue and mouth.
Don't tense your lips and instead produce a soft sound aligning it with shakuhachi.

3. It is important not to close your lips too much and the energy produced within your mouth you direct towards your belly bottom area instead of putting an effort in the lips.

4. Make the O shape of your lips and it will enable you to release a soft sound.

5. Don't think about 'blowing' in a literal sense.
It should be kept in mind that the loud sound does not come out if you use a lot of breath. It should resonate with the air column inside the bamboo.


6. You can’t achieve this result when playing jiari shakuhachi as it is too easy to produce the sound and you don’t use your tandem area. Blowing jinashi long wide-bore shakuhachi will quickly enable you to feel the true Fuke zen spirit and flexibility is the main point






 

吹禅の技法(2)

吹禅の技法(蒼龍会) 故・岡本竹外先生の指導

 1.吹起す   自然に静かに吹き次第にカル

 2.吹出す   意図的に少し力を込める楔吹き

 3.吹強める  笹の葉の如く中太に音尾は消す

 4.吹消す   消えるように音尾を静かに消す

 5. 吹抜く    音尾をカリ音にしてシオリながら抜く

 6.吹止め   かるく吹き止める

 7. 吹切る    強く吹き止める

 8. 枝下り    所謂シオリの技法は当たりと同時にいれるもので、このタイ                       ミングが遅いと マヌケと称する音になってしまう。

 9. 当り     指の当りと息の当りあり、息の当りはメッタ音から瞬間にカ                       リ音を出すもので、このシオリを入れる場合もあり、指当
                      りもシオリを入れる場合がある。 

大安般守意経学ぶ

故・岡本竹外先生の吹禅指導の中にテキストとして「釈尊の呼吸法」大安般守意経に学ぶ(村木弘昌著)がありますが、地無しの太くて長い尺八を吹く場合は口元や肩、腕の力をいかに抜いて自然体で扱うかが問題となります。大法輪の中で、この大安般守意経について天祐寺住職 須田道輝氏が、わかりやすく解説していますので、参考に一部を記載します。釈尊は3か月間、安那般那の念をもって座禅し、入息出息の呼吸による修行法を悟ったと述べられ、安那守意の禅定を開示されたのが、この経典です。「安般」は、安那般那(アーナ+アパーナ)という音写語を略した言葉で、安那(アーナ)とは入息、般那(アパーナ)は出息の意味です。「守意」は、言語はサテで、これは「念」とも訳される語であり、心を集中するという意味です。つまり「安般守意」とは、座禅中に入る息・出る息に心を集中することになります。釈尊は、次のように述べられておられます。「この安那般那の念を心にかけて座禅するならば、身体は疲れることを知らないし、眼も心も患うことなく、真実を見すえて、安らかに生きることができると同時に、迷いを離れ
禅定の境も深まり、神通の力も増大する。」安般守意の呼吸の特長は、「出息は長く、入る息は短く」という呼吸法です。息を長く出す時「ー」とえ、吸うときは短く自然に吸い、また出息するとき「二」と数え、順次十まで数え、数え終わったなら、再び一に戻って、二、三、四、と続けて数えます。これが数息の法です。出息長の呼吸法は、出来る限り息を静かに長く吐き出すことが基本です。それには身体を真直ぐに伸ばして座することが大切です。「大安般守意経」には、「身曲がりて息を得ざれば、身の過となす」と述べられています。その時の呼吸は自然に腹式呼吸になりますが、息を静かに、ゆっくりと出す時、腹部(丹田)に軽く力が加わるように息を吐くのが好ましい呼吸です。道元禅師も「大乗調息の法は、息丹田に至り、また丹田より出ず」と述べられています。この時、意識的に丹田に力を入れ過ぎると
横隔膜に負担がっかり、逆効果になります。すべて自然にあるがまま、なるがままが最善です。むやみに人工を加える呼吸法は感心しません。「出息に意を守る」ことが安般守意の呼吸法です。最後に安般守意の優れた点を整理しますと
1.身心は患うことがなく、安らぎを得る。
2.心の混乱が消え、迷いがなくなる。
3.禅定が深く進み、悟りに至る。
4.出入の息を観じて、生死の実相を知る。(呼吸の出入りは、そのまま生と死との切り替えしであることを観ずる)。
5.行息は意をして「空」に向かわしめる)息そのものに色形はない。その無なる息の出入りは、そのまま生命そのものの空であることを悟らしめる)。
6.道を究めることは、技芸の道を含め、道と心が一体となることによって、その道の奥を知る(「味合座」といいます)。
7.心の苦悩、妄念のとらわれを解きほぐす([無有結座」といいます)。
8.妬みや、いかりの邪念が消え、慈しみの心が生まれる(「得慈念意」といいます)。
9.仏法の修行と教理、さらに教化方便の力を増大せしめる基礎となる。
10.無心の根源に触れ、悟りの境に達す(「泥おん道」といいます。泥おんとは涅槃のことです。