鹿鳴(鹿の遠音)
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鹿鳴(鹿の遠音)(その1)

2006年2月25日(蒼龍会総会研修資料) 

 

(資料1)平成3年新潟市文化会館にて 尺八 岡本竹外 高橋峰外

 

鹿 鳴(作曲者不明)

<解説>

鹿鳴(俗称 鹿の遠音)

この曲は詩経、小雅篇の「鹿鳴」を曲想として作られた曲です。「ゆうゆう

たる鹿鳴、野之よもぎを食む。我に嘉賓有り。瑟を鼓し、笙を吹く・・・・」鹿は好んで仲間を呼び合うと謂う。ゆうゆうと友を鳴き呼ぶ鹿に言い起して、天子が群臣を呼び集めて、嘉賓として迎え、琴を調べ、笙簧を吹いて音楽を奏した詩であるが「礼記」の学記には天子の宴だけでなく、上下を通じ用いられたと誌されている。これが我国の古今集の「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の、声きくときぞ秋は悲しき」の曲想とすり換えられ、更に雌鹿と雄鹿が呼び交わす、などと云う解説があるけれども雌鹿は殆ど鳴かない。雄鹿は自分の縄張りを宣する時に、鳴くことは動物学上定説になっているが、本曲はやはり友を呼ぶ詩経の鹿鳴の詩が曲想である。良寛の和歌に「さ夜更けて聞けば高根にさを鹿の聲の限りを振りたてて鳴く」この鹿の友を呼ぶ声が山谷に谺して遠音として聞こえてくるという吹き方が口伝とされている。

 

鹿鳴之什 小雅

 

ユウユウ鹿鳴 ユウユウと鹿鳴きて       ゆうゆうと鹿鳴きて

食野之苹 野の苹(へい)を食む    友呼びて野の白よもぎ食む

我有嘉賓 我に嘉賓有り        我もまろうどを集えたり

鼓瑟吹笙 瑟を鼓し笙を吹き      瑟を鼓し笙を吹く

吹笙鼓簧 笙を吹き簧(こう)を鼓し  笙を吹き簧(ふえ)を鼓し

承筺是將 筺を承(ささ)げて是れ將(すす)む 引き出物満てる箱ささ

げて

人之好我 人の我を好(よ)みせば  人々に贈りなむ かくて言いなむ

示我周行 我に周行を示せよ     まろうどよ 我を嘉したまはば

我に至道を教え給えかしと

 

(二番略)

 

ユウユウ鹿鳴    ユウユウと鹿鳴きて      略

食野之キン    野のきんを食む

我有嘉賓    我に嘉賓有り

鼓瑟鼓琴    瑟を鼓し琴を鼓す

鼓瑟鼓琴    瑟を鼓し琴を鼓し

和楽且湛    和楽し且つ湛(たの)しむ

我有旨酒    我に旨酒(ししゅ)有り

以燕楽嘉賓之心 以て嘉賓の心を燕楽せしめん

 

※ユウ 鹿の鳴声 鹿鳴館の語源となった詩です。詩経は年号を始め、いろ

んなものに命名する時の原典になっています。

※キン 蔓草の一種

 

鹿鳴(鹿の遠音)(その2)

※鹿の声について(蒼龍会 鈴木雪外氏より) 

 

①発情期雄鹿が縄張りを主張する時

 

フイーヨー、フイーヨー、フイーヨー

 

②子鹿を呼ぶときの雌の鳴き声

 

チュイーン

 

③発情期の雄が他の鹿に対抗する時

 

ミーフーン

 

④威嚇する時

 

ゲ、ゲ、ゲ、ゲ、ゲ、(グ、グ、グ、グ、グ)

 

⑤警戒する時

 

ピヤッ

 

※譜は故岡本竹外先生の残されたもの(参考までに)

 

鹿鳴の楽譜(クリックで画像を拡大)